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篆刻(てんこく)とは

篆刻(てんこく)とは「はんこ」です。

 

よく、実 印や銀行印と篆刻は違うのですか?
と聞かれたりしますが、
 
「はんこ」
 
という意味では一緒です。
用途が違いますね。
篆刻が使用されるのは、書道作品のサイン(落款)の後に押されたり、
日本画のアクセントに押されたりします。
 
見たことありますよね。掛け軸に押された四角い印。
 
 

 
 
 
年賀状や絵手紙に印が押されていると、むむ、なかなかやるな、
と、たいした作品でなくても(ごめんなさい)立派に見えたりします。
書や絵に押されるのですから、ちょっと味があった方がいいですね。
  
実印を絵手紙に押してカッコがつくでしょうか?
ちょっと場違いですね。
 
せっかく自慢の作品に捺すのですから、
やっぱりしゃれたものの方がいいですよね。
 
 

 

篆刻と実印は役割が違う

実印は文字が欠けたり、読めないと問題ですが、篆刻は(乱暴に言えば)文字が間違っていなければ
読めなくったって構いません。
篆刻はサインの代わりにもなるものですから、
それが、貧弱では作者のセンスが疑われかねません。
自分のサインはあんなに練習するのに、印に気が回らないようではまだまだですぞ(えらそうだ)
 
 
さて、篆刻のはじめは、中国古代の銅印です。(漢銅印)
基本はこれです。
地中に埋まったり風化して、いい具合に古拙がついた印には
人知を超えた自然に朽ちた美があります。
 
 
 
 

 
 
  
その美は、人間が手を加えて作ったものを
長い長い歴史の中に埋もれてゆき
そして、再び地上に現れる
 
錆も、欠けも、全ては計算外の自然が織りなす美・・・
 
 
 
それを素材に、現代的にアレンジしているのが篆刻です。
(そのまま、まねっ子でもいいのですが、やっぱり自分だけの表現を求めてしまうんですね)
 
印刀と印材を使って
その自然がおります美を再現しようと
篆刻家たちは毎日石と格闘してます 
 
 
 
 
篆刻の「篆」とは篆書体の篆です。
篆書体とは、漢字の元の字、象形に近い字です。
篆書を刻すから、「篆刻」です。
篆書体は、勉強しないと読めません。

 
 
 
 
篆刻で篆書体を使用する理由

 
なぜ、勉強しなきゃ読めない篆書体を使用するのでしょうか?
 
 
 
1、美しく可愛らしい造形美
 
最大の理由はその造形美にあると思います。
不思議なかわゆさ、たたずまいがあります。
 
それは、古代の人が見ていた世界
 
漢字の元である篆書は
元々絵でした
 
子という字は子供が手を挙げている形
山、川、鳥・・・
すべて、古代の人たちが見たそのものの形を
文字に封じ込めました
 
素朴でありながら洗練され

幼稚でありながら緻密に
 
そんな世界が篆書体にはあります
 

 

 
2、変形のしやすさ、配置しやすい文字
  
そして、変形させやすさ
 
文字を伸ばしたり縮めたり、ルールはありますがかなり自由にアレンジできます。
 
 

 
 
上は「華(花)」という漢字の篆書体です。
 
四角い印面の中に収まり良く文字を配置することが可能です
楷書や行書ではなかなかうまく収めることができません
 
一定のルールはありますが
線を増やしたり減らしたり、曲げたり伸ばしたりすることも可能です
同じ文字でも上の花のように、色々な種類があります
好みに合わせて文字を選択することができます

 
 
 
3、文字の神秘性
 
そして、読めない古代文字で彫られると、なんだかすごいものに感じませんか?
魔術的な、神秘的な、神聖さを感じますよね。
 
実際、文字の始まりは占いのためでした
 
その後、文字は権力を持ちます
 
古代の人も、この世界の神秘性
理不尽さ、神の世界を垣間見ようと
この世界を文字に写し取ったのです
 
 
 

篆刻に使用する印材

 
篆刻は、基本的に石に彫られます。
石というと堅そうですが、ロウ石に近いです。
ロウ石ほど柔らかくはありませんが、子供の力でも充分に彫ることができます。
他に、木印、陶印、竹印などもあります。
 
 
この柔らかく、彫りやすい印材が発見され篆刻は大いに発展しました。
誰でも印刀さえあればたやすく、自分の印を彫ることができるようになったのです。
 
篆刻は、厳格な決まりがあるようでいて、実はそうでもなかったりして、
かと言って自由でいいのか?というと堅苦しかったり・・・
なんとなく、暗黙の了解で成り立っているような感じです。
 
ここまでは篆刻、ここからは篆刻ではない、
と言った境界は非常にあいまいです。
 
 
その境界は、たくさんの印を見ることによってだんだんわかってくると思います。
 
 
 
 
 

趣味人を惹きつけてやまない篆刻

 
昔の文人、財界人、事業家・・・
多くの趣味人を魅了してきた篆刻
 
ただ彫るというだけではなく、知的なゲームの一種でもありました
 
書を学び、絵を学び、漢文、俳句などを治めた後
最後に残るのが篆刻でした
 
 
彫刻の要素、文学の要素、絵画の要素
 
全てを取り込んで篆刻は存在します
 
ただ、綺麗に彫るのではなく
(もちろんテクニックは必要になりますが)
そこに込められた情緒
 
古代からの息吹を現代によみがえらせ
手のひらの中で楽しめる
 
威厳に溢れながらも、どこか可愛らしい篆刻
 
 
そんな世界に人々は魅了されるのだと思います
 
 
 
 
 

ようこそ篆刻の世界へ

 
一歩、篆刻の世界に足を踏み入れてみてください
手紙の最後に、自作の印を押す
 
季節の言葉、今の心情
 
そんなものを手紙の最後に載せ
 
静かに封をする
 
今の気持ちを閉じ込めるように
気に入った印を、鮮やかな印泥の朱に沈め
夜の書斎で印を押す
 
 
なんとも風流な世界じゃないですか!
 
 
 

 
 
 
篆助店主、雨人の篆刻コラム
 
 
  雨人的篆刻上達法
 
 
 
  
 
 

今年の催事情報

今年も色々なところに出張実演販売を行います
お近くにお寄りの際は是非遊びに来てくださいね!

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【記事を書いた人】

篆刻家、加藤雨人(うじん)
1975年生まれ
北鎌倉の篆刻工房「かまくら篆助」にて毎日篆刻を彫って暮らしています
詳しいプロフィールはこちら
 
篆刻家/役者/ラジオパーソナリティ/
 
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