よく、どうしたら篆刻家になれるのですか?と質問を受けます・・・
というのは嘘で、一回もそのような質問は受けたことがありません。
世の中には、篆刻家になりたい!と夢を持っている人はいないのでしょうか???
質問されたら、神妙な顔をしつつ、
やめといた方がいいよ。大変だよ・・・
などと、偉そうに答えたいのだけれど、いかんせん、質問されないのでは
答えるチャンスがないのです。
で、業を煮やして自分から解説してしまいます。
だいたい、篆刻家に国家資格も免許もいりませんから、
あなたが篆刻に自信があるなら、
誰に気兼ねすることなく篆刻家と名乗ればよろしいのです。
篆刻に自信があるなら、今からあなたは篆刻家です!
って乱暴なことを言っても、
ほとんどの方が、篆刻が好きだから篆刻で食べていけたらいいな、
自信があるわけじゃないけど、センスあると思うんだよなあ、
と言う感じだと思います。
趣味でやるのではなく仕事となると、それなりの専門知識が必要ですので
できれば先生に師事したいです。
篆刻には細かいルールがありますし、書籍が充実しているといっても
ほとんどが初心者向けの手軽なもので、
たまに専門的なものがあると思っても、専門的すぎて独学ではなかなか難しいです。
まず、師匠を見つけましょう。
篆刻家の一般的な歩みは
師匠について勉強し、公募展で入選、入賞。
小さな公募展からだんだん格上の公募展に移っていき、
団体の幹部になり、生徒を集めて、その生徒も出世していき、
篆刻団体の長となり、その団体を大きくしていく。
公募展でよい作品を出品し、賞などをもらえば、注文も弟子も沢山集まるでしょう。
というところでしょうか。
雨人は、公募展に出品しておりませんので
(その時点で篆刻エリートコースから脱落です。涙)
作品の発表の場は雨人の所属させてもらっている団体の社中展のみということになります。
雨人の生活の糧は、印を彫ることがほとんどです。
刻料が安すぎる、と批判を受けることもあります。
(お客さんからは歓迎されますが)
が、いつまでも安いわけではありませんよ!ガンガン値上がりしますので、
今のうちに頼んでおくのが賢い人です。なんてね。
話がそれましたが、
昔は、パトロンがいて、印一つの注文で1 カ月は暮らせる刻料をもらったなどと聞きますが、
今はそんなことはありませんので(少なくとも雨人には)、
たくさん彫らなければ、生活ができません。
雨人は印を彫るのが好きなので、逆に楽しいですね(強がり)。
雨人が考える篆刻家必須条件
○書道好き、美術好き
お客さんの大半が書道関係者です。
高野切三種やっているんだけれど・・・
半切2 行に王鐸風の行書を書きたいんだけど・・・
と言われ、へ???
となってはかっこ悪いですね。
書道好きになってください。
絵を描かれるお客さんもたくさんいます。
ある程度の知識は必要です。
篆刻は篆書体を彫りますので、
篆書がかけなければ話になりません。
雨人が篆刻を習い始めた時、ひたすら篆書を書かされ
一切印を彫らせてもらえませんでした。
○自分のセンスに自信がある人
こんなことを書くとかなり誤解されそうですが、
何事も根拠のない自信から始まると思います。
雨人は、どんなことでも、たとえセンスがなくても続ければ必ず上手になると思っています。
もしセンスがあると思うなら、続ければ抜群に上手になります。
わたしってセンスがあるのでしょうか?
と質問するようでは、ちょっと考えなおした方がよろしい。
他者にセンスがないよ、といわれ諦めるようでは
芸事で生きていくのはきついかもしれませんね。
批判者を心の中で、分かってねえな、ぐらいに思える自信過剰でよろしいかと思います。
(謙虚さも必要ですよ。要はバランスですね。そんなことも含めてのセンスでしょうか)
人間的にどうか、と問われれば何とも言えませんが、勘違いが大化けする場合もあります。
ただ、声を大にして言いたいのは、「基本は学んでください」ということ。
根拠のない自信も、基礎の積み重ねによって確信に変わります。
先人の作品もみない、辞書も引かない、作品展も見に行かないでは、
本当に自分勝手なものになってしまいます。
文字が彫ってあれば篆刻か?と問われれば、やっぱり違うと思うのです。
書道には書道の、篆刻には篆刻のルール、概念があります。
まずはそれを学んでから、自分なりの解釈を加え、自然と作風ができてくると思います。
もし、「篆刻」、という枠の中で生きるなら、篆刻を理解してから、ということでしょう。
と、とりとめもなくなってきたので、ここら辺でやめます。
雨人の篆刻家になるまでの道のりは、また別の項で述べますね。
さて、篆刻家になる方法は・・・ 自分で考えましょう。ってこと?