「コロナよさようなら」 ~タナカヨウコの篆刻探訪記 #006~
「コロナよさようなら」
●甘海老
どうやら、新型コロナウイルスはかなりヤバイらしい。
日本中、いや、世界中の人間がそう感じ始めたころ、
SNSのタイムラインで不思議ないきものを目にするようになった 。
アイキャッチの一瞬で画像を見るも、 続くつぶやきはスルーしていたので、
その正体を知ることのないまま、頭に疑問符だけが飛び交った。
「ん??甘海老って、こんなんだっけ?」
●否、アマビエ。
食材としてもいきものとしても、海老は苦手である。
甘海老なんて食べないし、じっくり見たことのない私は、
見方によって甘海老は、実はこんなんなのかも、なんて、
軽く、でも不思議と大真面目に思っていた。
ある時、雨人さんの甘海老はんこが、 タイムラインに上がってきた。
よく見ると、それは「アマビエ」はんこだった。
疫病退散の妖怪「アマビエ」を、
「アマエビ」と読み違えたのは、私だけではないだろう。
●コロナ退散!!
マーカーで黒く塗った石の断面に、朱墨で簡単な輪郭線を描いて、 入刀。
見慣れぬ妖怪アマビエを彫るのに、 髪の毛も鱗もフリーハンドとは!
小さな石のキャンバスをくるくる回しながら、
印刀を、筆の如くなめらかに操り、アマビエはんこ、 という作品を創り出す。
その指先に迷いはなく、休むこともなく( 編集してたら知らないが)、
小気味よく彫り進められる、その様の軽快なことよ。
感嘆しながら見ているうちに、完成していたアマビエさまに、 私は祈る。
「コロナよ、どうか、一刻も早くいなくなっておくれ」
私もアマビエさまの絵を描いて、SNSに投稿し、 お店に貼ってみたりする。
アマビエさまはこう言った「私はいつでもここにいる」と。
きっとずっとこのコロナ禍に、心を痛めていることだろう。
あれからおよそ2ヶ月が過ぎ、
今尚、アマビエさまの一刻も早いお役御免を願って止まない。
本来海に住まうアマビエさまが干からびてしまうその前に、
疫病退散、コロナよさようなら。
雑貨屋コンロラン店主 タナカヨウコ
タナカヨウコの篆刻探訪記
【記事を書いた人】
ライター:タナカヨウコ
北鎌倉「コンロラン」店主
旅行好きがこうじて北鎌倉に世界の雑貨を扱う雑貨屋オープン
ライター、イラスト、写真と何でもこなすマルチアーティスト
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