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「バカ殿さま、天に召される」 ~タナカヨウコの篆刻探訪記 #012~

 

 

 

 

 
「バカ殿さま、天に召される。」
 
 
●志村さんからの警告。
 
2020年3月30日、日本列島に激震が走った。
前夜、志村けんさんが亡くなられたという衝撃的な報道に。
 
死因は新型コロナウイルス感染症による肺炎だった。
 
志村さんがコロナで入院されていたことは知っていたけれど、
まさかお亡くなりになられるなんて、思ってもみなかった。
 
特にファンだったわけでもないし、
世代とは言え、子どものころはドリフを観させてもらえなかった。
 
なのに、とても悲しかった。
ものすごくショックで、心にぽっかり穴が開いた。
 
昔かわいがってくれた遠い親戚のおじさんを、
失ってしまったような感覚に近かったと思う。
 
志村さんの死を機に、新型コロナウイルスの怖さを再認識し、
ことの重大さに危機感を改めた人は多いと思われる。
 
かく言う私もそのひとりだった。
 
 
●悲しみのコロナ。
 
そして、日本全体の自粛ムードが強まり、北鎌倉の人通りもぐんと減った。
 
店の雑貨は誰の手に取られることもなく、ただここにあるだけだった。
悲しくて、悔しくて、申し訳ないキモチでいっぱいだった。
 
そんなとき、
SNSのタイムラインに、雨人さんの「バカ殿はんこ」が上がってきた。
 
いつもの淀みなく語り続ける動画とは異なり、言葉を発さずに、
ただただバカ殿を彫り続ける、というものだった。
 
BGMは静かな器楽曲と印刀が奏でる石を削る音、
印を彫る映像に白抜きの文字を重ね、たんたんと言葉を紡ぐ。
思わずウルっとしてしまった。
 
志村さんの死も悲しいし、
雑貨を売ることができないのも、・・・悲しい、よ。
 
 
●忘れない。
 
この感染症の怖さは、近親者でさえも、
お見舞いができない、
死に目に会えない、火葬にも立ち会えない、
ということ。
 
志村さんのお兄さまの表情と言葉に、悲しみと無念さが伺えた。
 
ピークは過ぎ、医療従事者を筆頭に、国民ひとりひとりの辛抱と努力で、
緊急事態宣言が解除されるまでに至った。
 
コロナ禍前と同じ日常は戻らなくとも、徐々に平穏に近い毎日がくる。
私の店も、試行錯誤しながら営業を再開する。
  
様々な見解があると思うが、たぶん、偶然の要素と辛抱と努力の賜物で、
日本は、奇跡とも言える感染者数、死者数に抑え込むことができた。
とは言え、いずれ第二第三の波がやってくることだろう。
 
辛い経験は、無意識に記憶から消し去ろうとしがちだけれど、
忘れそうになってしまったら、このバカ殿はんこと、
雑貨を売ることができなかった日々をを思い出そう。
 
その先に待っているかもしれない悲しみを、最小限に抑えるために。
 
志村けんさん、
明るい笑いと、コロナへの警告をありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
 
雑貨屋コンロラン店主 タナカヨウコ
 
 

タナカヨウコの篆刻探訪記
 【記事を書いた人】


ライター:タナカヨウコ
北鎌倉「コンロラン」店主
旅行好きがこうじて北鎌倉に世界の雑貨を扱う雑貨屋オープン
ライター、イラスト、写真と何でもこなすマルチアーティスト
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