【左手チェレンジ!!】 ~タナカヨウコの篆刻探訪記 #071~
【左手チェレンジ!!】
●憧れの左利き
幼少期から変わり者だった私は幼稚園児の頃、「左利きがカッコイイ!」と思って、
自らに「左利きになる訓練」を課した記憶がある。
食事は家族と一緒なので、お箸を左手で持ったら母に叱られることが目に見えているから、
先ずは、筆記具を持つ手を左手に変えて訓練に勤しんだ。
全くもって思い通りに鉛筆やクレヨンを運べない。
そもそも幼稚園児なので、そう整った文字を書けるわけではないが、どう見ても見劣りする。
ひらがなは何故か鏡文字になってしまい、線が歪みバランスが悪い。
結局のところ、飽きたのか諦めたのか、その両方の理由によるのか覚えてはいないが、
左手訓練はフェードアウトし、次は足指で筆記具を掴み文字を書く訓練にシフトしていった。
もちろんそれを極めることもできぬまま、私はただの右利きの幼稚園児として過ごすこととなった。
●篆刻家が左手で彫ってみた
本動画のタイトルを見て、幼稚園の頃のおばかな記憶が蘇り、なんだかワクワクしてきた。
器用な雨人さんのことだから、上手にこなすのではなかとうかという期待や、
経験上、左手だと鏡文字になりがちなので、下書きはしやすいかもしれないという想像などを携えて、
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左手彫りは初挑戦とのことで、意外や意外、雨人さんにしては珍しく、否定的なワードが漏れてくる。
「こわっ」「無理かな、こりゃ」「ひどいね、こりゃ」「印刀の持ち方がわからない」etc・・・。
実演販売先での録画ということで、ちょいと雑音が気になるものの、仕上がりに納得いかないのか、
右手でも同じ文字を彫って、ふたつの印を比べて見たりと、大変興味深い動画だった。
最終的には「左手で彫る研究しようかな」と、実に雨人さんらしい、何でも楽しむ姿勢がいいよね。
続編、楽しみにしております(笑)
●工(たくみ)を求めることなかれ
今回刻まれた文字は「不求工」、工を求めずフツーに自然に、というような意味を持つ。
雨人さんはそれをイマドキの表現に置き換えて「ヘタウマ」とか言っていた。
雨人さんご自身が工(匠)、即ち、優れた技術を持つ篆刻家さんなので、なんだか語弊がありそうだけれど、
左手を使うことで工(匠)ではなくなり、「不求工」が実現できるのかもしれない。
雑貨屋コンロラン店主 タナカヨウコ
タナカヨウコの篆刻探訪記
【記事を書いた人】
ライター:タナカヨウコ
北鎌倉「コンロラン」店主
旅行好きがこうじて北鎌倉に世界の雑貨を扱う雑貨屋オープン
ライター、イラスト、写真と何でもこなすマルチアーティスト
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