篆刻印が必要になったら。自分で作るかプロに頼むか知り合いに頼むか
さて、印が必要になったぞ、どうするか。。。
どもども。篆刻家、雨人です。
さて、篆刻印が必要になったら誰に頼みましょうか。。。
ここでの大方の選択肢は3つです
1、自分で頑張って彫る
2、篆刻家(プロ)に発注する
3、趣味で篆刻をやってる人にお願いする
この場合の印は、実印や銀行印ではなく
書道や絵手紙、日本画、イラスト、蔵書印といった
いわゆる落款印(らっかんいん)としますね
それぞれのメリットとデメリット
1、自分で彫る
◯メリット
- とりあえず安くできる
- 自分の思い通りのデザインで作れる
- 彫る作業が楽しい
- いろいろな知識が身につく
- 彫れるようになれば、他の人から依頼を受けて小遣い稼ぎができる
◯デメリット
- 時間がかかる
- 道具を揃える手間がかかる
- 意外に道具が高かったりする
- 不器用だと辛い
- 篆書体を調べる方法が分からないと困る
- 怪我をするリスクがある
自分で彫るという選択肢を選ぶ人の大半が、
人に頼むと高いから、自分で彫って安く仕上げようという人だと思います
彫るのに慣れていて、道具も一応揃っているそんな人は迷わず、自分で印を彫るでしょうが、
問題は、篆刻というものに触れたことがない人。
今では、ユーチューブでも書籍でもネットで探しても
篆刻のハウツー本は山のようにありますので
独学で篆刻を始めるには便利な時代になりました
書道などでは印はいくらあっても足りないくらいです
作品を作って、手持ちの印を押す
- ああ、もうちょっと大きい印があればいいんだけど
- この作品には、この印じゃちょっと硬いよなあ
- もうちょっと可愛い印が欲しい・・・
そんな悩みが出て来ますし
その度に、篆刻家に頼むのではお金がかかって仕方ありません
お金持ちなら問題ないのですが・・・
ですから、これから書道を続けていくのであれば
篆刻をやっておくのも損ではありません
もし、独学が難しい場合は
カルチャーセンターや、公民館などで行われている篆刻教室に一度通うのも手ですね
右も左も分からない状態から、一歩が出やすくなります
2、篆刻家に頼む
◯メリット
- 一定のレベルの印が手に入る
- 篆刻に取られる時間の軽減
- 自分の好みを伝えればそれなりに叶えてくれる
◯デメリット
- お金がかかる
- 気に入った印が出来上がるかは分からない
プロに頼めば何と言っても人に見せて恥ずかしくない印が出来上がります
字の間違いや、篆刻のセオリーから逸出した印が出来上がることはないでしょう
ただ、篆刻家のレベルもピンキリです
趣味の範囲から出ていない篆刻家から
かなりのレベルに達している篆刻家まで
どの篆刻家がいいかは、自分のセンスの合う作家、自分の財布との相談
ということになります。
プロに頼むのですから、それなりの出費は仕方ありません
その技術を身につけるための修行期間、修練を考えると
1ヵ10000円前後は安いとさえ言えます
篆刻は全て手彫りになります
その技術を、1から身につけようと思えば
少なくとも5年。
篆刻家と名乗れるようになるまでは10年は篆刻に携わらなければなりません
しかも、ひたすら篆刻に向き合っての10年です
篆書体を覚え、書道の知識も必要で
漢文、日本画、現代アートに至るまで
幅広い知識が必要になって来ます
その作家の作品が
10000円で手に入るのです
できるだけ、出費を抑えたいのは分かりますがね(笑)
篆刻家は歴代、貧乏人が多いです
そりゃそうですよね、ニッチ中のニッチな仕事ですから
絶滅危惧種の篆刻家にできれば注文してあげてくださいね
さて、篆刻家にはどうやって頼めばいいのかというと
今ではネットで自分の作品を発表している作家がたくさんいます
「篆刻家」「篆刻」などのキーワードで検索して
気に入った作家を見つけるといいと思います
または、SNSで篆刻家の作品を見つけて
個人的に頼むのもいいですね
フェイスブック、インスタグラムで探せば
いろんな作家が作品を掲載しています
この場合は、値段が分からないので問い合わせることになりますが
まだ駆け出しの篆刻家の場合
かなりお得なお値段で作ってもらえる可能性もあります
3、篆刻が趣味の人に頼む
◯メリット
- とにかく安くできる
- 喜んで作ってくれる人が多い
- 自分よりうまいのは確実
◯デメリット
- 気に入らない作品が出来上がっても文句が言えない
- 気に入らなくても使わないと失礼になる
- あんまり無茶が言いにくい
- 結局お礼にお菓子を買ったりで、出費する可能性がある
この場合は、相手方から彫ってあげるよと言って来てくれる可能性もあります
彫り始めの頃は、印を彫りたくてしょうがないので
頼めば喜んで彫ってくれると思います
ただ、あまり複雑なのや、手の込んだのはうまくできない場合や
嫌がられる場合もありますので
相手との関係で、彫ってもらえる印も変わってくると思います
しかし、彫ってもらったのが気に入らない場合も多々ありますので
それを使わなければならないリスクもあります
自分の作品に押す印ですから
やっぱり気に入った印を押したいですよね
4、番外編
◯ミンネ、クーリマ
クーリマやミンネ、ベイスといった
個人が登録する手作り品に特化したショッピングサイトがあります
ここでも色々な篆刻を趣味にした人たちが印を販売しています
ここの特徴は値段が安いということです
プロとアマチュアの境にいる人たちが多いですが、
どちらかというと趣味でやっているという作風が多いですね
気に入った作風がありましたら、知り合いに頼むより気が楽かもしれません
◯中国、台湾に旅行行く人に印を作って来てもらう
中国のお土産に、篆刻を作って来てもらった方も多いと思います
手頃な値段なので、お土産に喜ばれています
ただ、これの欠点は、
中国人と日本人の好みが違うので
気に入った印が出来上がることが少ないということです
中国のお土産にもらったんだけど
気に入らないから彫りなおしてくださいという注文を年に何度か受けます
◯はんこ屋さんに頼む
はんこといえば、はんこ屋さんです
これは番外編というより、オーソドックススタイルなのかもしれませんが
いま、はんこ屋さんで手彫りをしてくれる所は少なくなっています
ほぼ外注になると思うので
どんな風にしてほしい、という細かい指定は難しくなって来ます
書道用具店で印を頼む場合も同じで、彫りあがって来たものに満足するしかありません
また、はんこ屋さんの感覚と、篆刻家の感覚も多少違うので
見本をよく見て決めてくださいね
はんこ屋さんから篆刻家に転向した篆刻家は多々いますが
篆刻家からはんこ屋さんに転向した人は僕の知る限りいません
僕は篆刻家からはんこ屋に転向しようと思ったこともありますが
技術が全く違うので、それを学ぶにはやっぱり時間がかかります
今、篆刻家と同じように手彫りのはんこ屋さんも絶滅危惧種になっています
神奈川県に唯一はんこの専門学校がありますが
2018年は生徒が集まらず開校できなかったとの話でした
機械彫りのコンビニ感覚のハンコ屋さんが主流になってしまい
ちょっと寂しいいですね
これも時代の流れでしょうか・・・
まとめ
自分の好みに合わせて、篆刻印を選ぶことのできる時代になりました
以前は、自分の通っている書道教室の先生の紹介で印を作る
というのが当たり前でしたが(今でも多いですね)
それとは違った、自分の雰囲気にあった篆刻家を自由に選ぶことができます
自分の作品に合った篆刻家を探す楽しみ、
自分の作品にぴったりの印に出会った時の喜び
そんな楽しみが、誰でも享受できるのです
それをむざむざ見過ごす手はないですよね
ネットでいろんな作風を見て
目を肥やしてくださいね
新たな世界が広がって来ますよ!
そして、できれば雨人に注文いただければ嬉しいいなあ(笑)
今年の催事情報
今年も色々なところに出張実演販売を行います
お近くにお寄りの際は是非遊びに来てくださいね!
【記事を書いた人】
篆刻家、加藤雨人(うじん)
1975年生まれ
北鎌倉の篆刻工房「かまくら篆助」にて毎日篆刻を彫って暮らしています
詳しいプロフィールはこちら
篆刻家/役者/ラジオパーソナリティ/
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