篆刻の値段が高いと思ってしまうあなたへ。それは絶対損をする(笑)
どもども、篆刻家、雨人です
ただいま、立川伊勢丹で実演販売中だよ
お店に行っても雨人はいないのです
ごめんなさい
篆刻の刻料10000円は高いか安いか
実印を手彫りで頼む場合
10000円は安く感じるのです
手彫りの場合ね。
ところが、手彫りの篆刻が一万円の場合、高いと感じる人が大半。
違う?
篆刻の刻料について考察してみたいと思います
実印を自分で彫ろう
という人は皆無に近い
ところが、篆刻は自分で彫ってみたいなあ
と思った事がある、もしくは彫ったことがある
という人はかなりの数でいます
学校の授業でもやるし
色んな教材も出ています
楽しかった思い出がいっぱいあります
版画もほぼ全ての人が学校の授業でやったことがある。
だけど、浮世絵をみて、
これなら自分でできそうだ
と思う人はあまりいないでしょう
なぜなら、目に見えて技術が半端ないのが分かるから。
ところが、篆刻に関しては
過去の印人の作品を見ても
イマイチ何がすごいのか分からない
そもそも篆刻をちゃんと見たことすらない
ここに、篆刻鑑賞の難しさが書いてありますのでよかったら参考にしてくださいね
これってさ、下手じゃない???篆刻がさっぱりわからないあなたへ
徹底的に技術むき出しの印ならば
これはかなわん、と白旗を掲げるでしょうが
過去の名品と呼ばれるもののほとんどが、
よう分からんものなので
素人とプロの差が曖昧なのです
(篆刻ってそもそもプロが必要なのか?
って思う部分もありますので、これは改めて別の機会に書きますね)
もちろん、見る目ができれば
一目瞭然、雲泥の差となるのですが。。。
ここに、篆刻の料金、10000円が高いの秘密があります。
人は、洋服には10000円払うのを厭わない
美容院代に10000円払うのも問題ない
だが、篆刻に10000円払うのは躊躇する
いまではユニクロやしまむらで服を買えば安くすみます
1000円の床屋だって町中にある
安く済まそうと思えばいくらでも安く済ませることができます。
だけど、やっぱり人は、一張羅を持っている。
書や絵を描く人は
いい印を持つことに謙虚になる
私の絵には、分不相応だから。。。
簡単なのでいいわ
だけど、容姿に自信のない人は
いい服や、化粧で、さらによく見せようとする
わたし、ぶさいくだから安い服でいいや
とはならないのです
この場合のブサイクって、自己評価ですからね
世の中には色んな好みの人がいますから
美の評価なんて時代や国で全然違います
だからさ、書道や絵に自信がない人ほど
気に入った印を押すべきだと思うんです
篆刻は化粧、装飾品。
安くったっていい、高くったっていい
気に入った印を押すべきだと、声を大にして言いたい
自分の作品にぴったり合う印
棟方志功が好んで使っていたのは
富本憲吉の印
富本憲吉は篆刻家ではありません
陶芸家
テクニックを持った篆刻家の印よりも
棟方志功の絵には無骨な富本憲吉の印がよく似合う
自分を美しく見せるために、
髪型に気を使い、服装に気を使う
なのに、自分の作品を美しく見せるために
印には気を使わない
なんでかなあ?
といっつも思う
篆刻、ひとつ1万円
学生だろうが、主婦だろうがフリーターだろうが
全く買えない値段ではない
だから、勇気を持って篆刻家に注文してほしい
そして、年に一つずつでいいから篆刻を増やしていってほしい。
高い服を買った後、後悔したことは誰でもあると思う
店では似合ったのに、やっぱり似合わない
そうやって、小さい頃から自分の好みの服に気づいてゆく
篆刻に対してはその経験が圧倒的に少ない
だから、今から自分の好みの篆刻に出会う旅に出るのです
さらに自分の作品をよく見せるために
篆刻を実際に買う。そして審美眼が養われる
失敗して、後悔してそしてたどり着くんです
いきなり大正解を狙うのはもちろんの事。
だけど、そうは問屋が卸さないんですよ(笑)
だってさ、まだ自分の好みがわかっていないんだもん
そして、自分の好きな印が自分の作品に合うとは限らない。
だから、色んな服を試してみるように
ひとつずつ手にとって、篆刻の展覧会に足を運んで。。。
いやああああ、めんどくせっっっせええ
って、美を追求するのにめんどくさいはないでしょう(笑)
自分を美しくするための努力を厭わないのが人間です
美の追求を放棄した人と友達になりたいですか?
美の方向性が違うのは当たり前
数学者が服装の美にはこだわらず
数字の配列の美しさにこだわる
そこに彼の美はある
作品を作る
それは数学者が数字の配列を美しいと思うように
色であり、線でありそんなものへのこだわり
楽しく描くということでもいい
そこには、必ず自分なりの美があるはず
そこに押す印ですよっ
適当でいいはずがないっ!
印一つでこんなにも歓びが増すのか
そんな体験をもっとたくさんの人に知ってほしい
家着があるように、スーツがあるように、ドレスがあるように
ジーパンがあるように、パジャマがあるように
色とりどりの篆刻の世界があなたを待っています。
だからね、騙されたと思って雨人に印の注文ちょうだいって話でした(笑)
雨人じゃなくてもいいのよ(笑)
色んな篆刻家の作品を見てほしい
心からそう願っています
実際に自分だけの印を手にした時
しかも、先生が勧めた篆刻家ではなく
「この人だ!」って、自分で探し当てた篆刻家を見つけた時
それはとても贅沢なこと
何年も探していた恋人に出会えた瞬間といってもいい(笑)
作品が書きあがった時
どの印を押そうか迷う瞬間
遠くから作品を眺め
ちょっとコーヒーなんか入れちゃって
そんで、いくつかある印を手にとって
印を撫でながら
お前で行くか?
と声をかけて
印泥に静かに印を沈めて。。。
真紅の印が作品に押され
しばし、作品の完成の余韻に浸る
わっはー
なんとおしゃれな(笑)
ね、印が欲しくなってきたでしょ
今年の催事情報
今年も色々なところに出張実演販売を行います
お近くにお寄りの際は是非遊びに来てくださいね!
【記事を書いた人】
篆刻家、加藤雨人(うじん)
1975年生まれ
北鎌倉の篆刻工房「かまくら篆助」にて毎日篆刻を彫って暮らしています
詳しいプロフィールはこちら
篆刻家/役者/ラジオパーソナリティ/
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