「ペヤングを買っておうちに帰ろう!」 ~タナカヨウコの篆刻探訪記 #021~
タナカヨウコの篆刻探訪記
「ペヤングを買っておうちに帰ろう!」
●ペヤングが食べたい。
嗚呼、アボカドに続いてまたもや、
視覚訴えられ、無意識のうちに得た情報に、支配されてしまった。
自分の単純過ぎる思考回路が恨めしい。
今、私は無性に「ペヤングが食べたい!!」
●ペヤングと私。
こどものころの私にとってペヤングは、
手が届きそうで届かない、魅惑の食べものだった。
インスタントものを嫌う母親に育てられたため、
食す機会が著しく少なかったのだ。
いとこの家に遊びに行った時とか、
土曜のお昼ごはん用の数百円で、近所の商店で買ってしまった時・・・。
家族の食事を作るようになっても、
大人になって自分で選んだ食べものを買えるようになっても、
カップ麺を食べる機会は、そう多くはなかった。
今でも、「今日は妙にジャンクなものが食べたいぞ!」とか、
「汗をいっぱい書いたから、なんだか高濃度塩分を欲している・・・」とか、
海外からの帰国直後「日本の味を手軽に今すぐ食べたい」
というような時にいただく、いわば特別な食べものなのだ。
だから、いつも新鮮な気持ちでそれなりに美味しくいただけるのだろう。
ある種の罪悪感と言うか、後ろめたさのようなものを感じながら・・・。
●裏切られた。
「ペヤングではんこができる?」という動画タイトルから想像したのは、
あのカピカピに絡まった乾麺にインクを塗りたくって魚拓のように拓をとるという案。
しかしながら、ティファールのお湯が沸いてペヤングに注がれた時点で、
フニャフニャになった麺では拓がとれないだろうから、この案は否決となった。
まあ、「何なの?そんなことだったの?」というコトの真相は、
ネタバレになるから敢えてここでは触れずに、「動画を見てね」と言っておこう。
なるほどこの方法なら、工作が苦手な方や、刃物を持つのが危ない方
(危険人物という意味ではなく、ちいさなお子さまなどのことです)でも、
気軽に容易にはんこを作ることができ、失敗も少ないだろうと思われる。
●はんこは作らないからね!
帰り道、小さなスーパーに寄ってしまった。
そして、カゴの中にはもちろん、四角いパッケージのアイツがいる。
自宅に着いたら、先ずは手洗いうがいをして、窓を開けてから、お湯を沸かそう。
雨人さんが、3分きっちりタイマーで計っていたのは意外だったけれど、
体内時計を信じて生きている私(ただの面倒くさがり、とも言う)は感覚で3分待つ。
ジャンクフードをいただくという罪悪感を払拭するために、野菜を洗う。
サラダは大きめのどんぶりでたっぷりと準備した(笑)
お湯を切り、ソースをかけ、麺に絡めると、ほわほわとのぼり立つ湯気に混ざって、
あのほんのりスパイシーな独特の香りが鼻腔を刺激する。
嗚呼結局、まんまとあの動画につられて、ペヤングを食べてしまった。
私はある種の背徳感とともに、敗北感も感じていた。
だからせめて、ペヤングではんこを作るなんてことはしないでおこう。
ちょっと面倒な、生粋の負けず嫌いなのである。
雑貨屋コンロラン店主 タナカヨウコ
【記事を書いた人】
ライター:タナカヨウコ
北鎌倉「コンロラン」店主
旅行好きがこうじて北鎌倉に世界の雑貨を扱う雑貨屋オープン
ライター、イラスト、写真と何でもこなすマルチアーティスト
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