「全体の流れを掴め!」 ~タナカヨウコの篆刻探訪記 #016~
「全体の流れを掴め!」 タナカヨウコの篆刻探訪記
●工場見学。
工場見学が好きだ。
と、書き出してみて、記憶を辿る。
最後にアサヒビールの工場見学に行ったのは、もう10数年前だから、
かなりご無沙汰しているではないか。
もう、工場見学好きを名乗ってはいけない気がする・・・。
テレビ番組で、「○○工場テレビ初潜入!」なんてやっているのを見ると、
ワクワクしながらつい見入ってしまう。
完成品からは想像もつかないほど、数多の製造工程を経て、
馴染みの商品が出来上がると思えば尚、感慨深い。
特にそれがお菓子工場だったりしたら、もう、尚更のこと!
そして、
それまで知り得なかった機械技術のあれやこれやに、ひたすら感嘆するのだ。
部分的に切り取られたある製造工程が映し出されて、
何を作っているか、あるいは、何をしているか、というような、
クイズが出題されることがある。
クイズになるくらいだから、製造工程の一部分のみを見せられても、
なるほど、全く想像がつかない。
そこにポーンと放り込まれて、作業の一端を担ったとしても、
自分が一体何を作っているのか、さっぱりわからないのかもしれない。
●はんこ凹み事件の真相。
製造業に限らず、どんな事柄であれ、先ず全体を見て知ることは大切だと思う。
大まかな流れを知ると知らぬでは、
細部に関わる際の理解度も、違ってくるのではないだろうか。
例えば篆刻の製作工程は、工場に比較したら実にシンプルだ。
しかしながら、印材(石など)を彫る、という誰もが想像しうる工程の前に行う、
印面を平らに整える、という重要な工程について、特に考えたことはなかった。
#005で書いた、昔、台湾で作ったはんこの真ん中が凹んでいた事件、
あれは、この工程が甘かったことになる。
まさか、ここで繋がるとは思いもよらなかったけれど(笑)
そして、印面を整える前に、時間をかけて行うであろうと予測していた、
「下書き」という工程が、ほぼないに等しいのは、
篆刻全般に言えることなのか、雨人さんならではなのかは、わからない。
わからないけれど、篆刻の大まかな流れを把握することができたので、
それでいいのだ。
ほんの少しだけ、なんだか、篆刻が身近に感じられた気がした。
雑貨屋コンロラン店主 タナカヨウコ
【記事を書いた人】
ライター:タナカヨウコ
北鎌倉「コンロラン」店主
旅行好きがこうじて北鎌倉に世界の雑貨を扱う雑貨屋オープン
ライター、イラスト、写真と何でもこなすマルチアーティスト
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