【篆刻】かまくら篆助〜北鎌倉の篆刻家雨人、手彫りはんこ屋〜 北鎌倉の篆刻専門店。篆刻家雨人の手彫り遊印,雅印通販サイト、書道、絵手紙、年賀状などに

判子が生み出す物語。色々な夫婦の形。篆刻は押すだけが能じゃない

篆刻を彫る。篆刻で何かが変わる・・・かも(笑)

  
立川伊勢丹での催事も中間地点を迎えました
どもども、篆刻家、雨人です。
 
篆刻家、雨人はだいたい毎月1回ぐらい
色々なデパートなどで実演販売をしています
 
今は、伊勢丹立川店での実演販売真っ最中
今回も色々なお客さんとの出会いがありました

 
 
名前で呼んでもらえない奥様

 
夫婦2人、仲よさそうな初老の夫婦が
印材をどれにしようか冗談を言いながら選んでいました
 
 
旦那さんは大きめ、奥様は小さめな印を選んで
お二人それぞれの名前を彫ることになりました
 
旦那さんは自分の名前ですぐに決まりましたが
奥様はちょっと悩み気味
 
 
 
お名前は、きみよさんとおっしゃいます
 
 
旦那さんは
 
「きみよ」でいいじゃないかと言いますが
奥様は、悩んだ末
 
 
「きみ」
 
でお願いしますと、にっこり言いました
 
 
 
旦那さんの怪訝な顔
 
 
続けて奥様は言いました
 
 
 
 
「私、ずっとあなたに“きみちゃん”って呼んでほしかったのよ」
 
 
それを聞いた旦那さんの狼狽ぶり(笑)
 
 
 
 
「なな、なな、な、なんで今急にそんなこと言うんだよ?!」
 
「この人ね、ずーっと私の名前呼んでくれないのよ
いまやっと言えてスッキリしたわ(笑)」
 
 
旦那さんはウロウロ
 
 
手芸が趣味の奥様
店頭に並ぶ、布の印袋を見付けて
 
「あら、可愛いわね、作ってあげようか?」
 
旦那さんはやっと話題が変わってホッとしたのか
うんうんうなづいてニコニコしていました
 
そして、奥様がひと言
 
 
 
「きみちゃんって呼んでくれたらね」
 
 
 
 「・・・・・」
 
 
 
 
思わずわらってしまいましたが、
笑う僕をみて、旦那さんは叩く真似をしながら、
 
 
 
「笑い事じゃなよ、今日一晩寝られなくなるじゃないかっ!」
 
 
 
あまりの狼狽ぶりに、声を出して笑ってしまいました
 
一晩考えて
 
悩んで悩んで
 
そして奥さんに照れながら
 
 
 
 
「きみちゃんさあ。。。」
 
 
 
と、声をかけるご旦那さんを想像しました
 
奥さんはきっと満面の笑顔で
 
 
「なあに?」
 
 
と答えるのでしょう
 
 
 
 
 
 
楽しみが叶うのはずーーっと後の方がいい
その楽しみだったことが叶った時
その喜びは、待った年数だけ倍増するから
 
 
 
2人ははんこが彫り上がるのを見て
 
わあああ!
 
と歓声を上げて喜んでくれました

 
篆刻 はんこ 手彫り 印鑑 きみ
 
 
 
苦楽を共にしてきた夫婦
楽しいことも、辛かったことも
全部2人の思い出
 
今やっと2人の時間ができて
 今までできなかったことをちょっとずつ
穴を埋めるように・・・
 
 
 
旦那さんがいたわるように荷物を持つ後ろ姿に
はんこ彫りの仕事をしていてよかったな、と思う土曜の午後でした
  
 
 
 
 
 
 
 
 

今年の催事情報

今年も色々なところに出張実演販売を行います
お近くにお寄りの際は是非遊びに来てくださいね!

年間イベント情報はこちら

 
 
 

【記事を書いた人】

篆刻家、加藤雨人(うじん)
1975年生まれ
北鎌倉の篆刻工房「かまくら篆助」にて毎日篆刻を彫って暮らしています
詳しいプロフィールはこちら
 
篆刻家/役者/ラジオパーソナリティ/
 
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