【曲線は直線の連なりなり】 ~タナカヨウコの篆刻探訪記 #080~
【曲線は直線の連なりなり】
●曲線も妄想も自由自在
直線もろくに彫ることができないくせに、曲線を上手に彫りたいだなんて、
おこがましいことこの上ないとは承知の上で、書かせていただこう。
文字を彫る上で、漢字は直線が多いけれど画数が多い分難しそうで、
ひらがなやアルファベットは画数が少ないけれど、曲線の表現に難儀するような気がする。
もしも、曲線が簡単に彫れるなら、
画数が少ない分、ひらがなやアルファベットを彫るのはお手のモノかもしれない。
画数、画数ってウルサイぞ、と思われそうだが、これは仕方がないことなのだ。
人生で一番多く書いたであろう、そして今後も書くであろう文字は、たぶん、名前だと思う。
私の場合、姓も名も画数が少ないためか、画数の多い複雑な漢字は苦手なのである。
昔は複雑な漢字の名前に憧れていたこともあった。
今は書く手間の掛からない簡単な名前でよかったと思っている。
そして、文字のビジュアルや書き易さも含めて、ひらがなが好きなので、
曲線を自由自在に彫ることができたら楽しかろうと妄想する。
そもそも、篆刻をやっていないのに何を言うか、とセルフツッコミをしたくもなるが、
妄想もまた、自由自在なのである。
●基本は直線
絵を描く時に、面は線の集まりで、線は点の集まりであるということを意識する。
それと似たような感覚で、曲線は短い直線の連なりなのだ。確かにその通りである。
前に似たようなハナシを見聞きしたことがある気がするが、いつのことだろう。
短い直線をテンポよく彫り繋いでいく雨人さんの姿が、そっくりそのままデジャヴュなんだけど…。
何はともあれ、その原理さえ理解していれば、曲線なんてお手のモノ、ふふふ。
…と思ったけれど、如何せん、直線もろくに彫ることができない私なので、オハナシにならない。
先ずは直線からマスターせねば!ね?
●白文が朱文にヘーンシン!
実は、この動画を観て一番心を奪われたのは、直線を彫ることができたら曲線も彫れる!
ということではなかった。…ゴメンナサイ。
雨人さんがいとも簡単に、白文で彫った「S」を、朱文に彫り直したことに見入ってしまった。
おおっ!すごーい!!
私はイラストに文字を添える際、よく白抜き文字を使う。
殆どの場合、下書きナシのままいきなりペンで書くため、バランスが悪くなったり、
文字としての辻褄が合わなくなったりすることが、よく起こる。
結局塗りつぶしてただの太文字に変え、過ちをなかったことにと誤魔化したりする。
が、この逆、普通に書いた太文字を、後から白抜き文字に変えることは、
ホワイトを入れて修正しない限り難しい。
篆刻の場合(説明がややこしくなるが、白文と朱文が書き文字の逆になる)、
白文は文字自体を彫り落としているので、ホワイト修正(石の粉を貼り付ける?)はできない。
彫った線を活かして、残っている部分を上手く文字にあてがい、朱文に変える。
なんかスゴイと思ったんだけれど、うまく説明ができないので…、こちらの動画をご覧ください。
雑貨屋コンロラン店主 タナカヨウコ
タナカヨウコの篆刻探訪記
【記事を書いた人】
ライター:タナカヨウコ
北鎌倉「コンロラン」店主
旅行好きがこうじて北鎌倉に世界の雑貨を扱う雑貨屋オープン
ライター、イラスト、写真と何でもこなすマルチアーティスト
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